断片化を越えて:国際協力の再構築を訴えたジャイシャンカル外相
インド外務大臣S・ジャイシャンカル氏は済州フォーラム平和と繁栄2026の基調演説で、断片化の進行に対して国際協力の新たな枠組み構築を改めて訴えました。
ジャイシャンカル氏は演説で、経済的相互依存や技術統合が深まる一方で戦略的競争や技術対立が世界を分断しているとの認識を示し、こうした二重性が各国に機会と課題を同時にもたらしていると指摘しました。こうした観察を踏まえ、氏は接続性の拡大が資源・市場・技術を巡る競争を激化させ、商業の自然な動きでさえ戦略的計算の対象になりつつあると警鐘を鳴らしました。
さらに、パンデミックやテロ、気候変動といったグローバルな課題は国家単独では対処し得ないとの論点を示し、インドの文明的理念である「Vasudhaiva Kutumbakam(世界は一つの家族である)」に言及する中で、地政学的緊張が高まる時代にも国際協力に対して開かれた姿勢を維持する重要性を強調しました。こうした指摘は、対応がナショナリズムへと後退する傾向への強い懸念を背景にしており、国際的な集合行動の必要性を示唆した形です。
断片化した世界で協力を再構築するための具体的方策として、ジャイシャンカル氏は五点のロードマップを提示しました。第一に、製造拠点とサプライチェーンの多様化による経済リスクの低減を掲げ、レジリエンスと冗長性を経済安全保障の中心に据える必要性を訴えました。第二に、影響力を持つ国々の間で新たなパートナーシップと相互理解を構築し、課題ごとの協力で国際秩序を安定化させること、第三に、対立や狭隘な戦略的思考によるコストへの認識を高めつつ国際法や国際機関、特に国連海洋法条約(UNCLOS)を保護する重要性を強調しました。
加えて、ジャイシャンカル氏は第四にグローバル・サウスの機会と能力を強化して開発途上国の成長を促すこと、第五に集合的努力によるグローバル・パブリック・グッズの提供と多国間機関の改革を推進して現代の現実を反映させることを求め、これら五本柱を通じて断片化を克服する道筋を示しました。
同氏はまた、経済的・技術的能力の兵器化や国家によるリスクの高い行動、ソーシャルメディア時代における対立的政治様式の台頭に懸念を示し、技術進歩が少数の強力なアクターの利益を優先させる傾向を強める中で、そのコストを軽減するには広範な国際協力が不可欠だと述べました。こうした警告は、国際社会がより包括的な対応を取るべきだという主張の論拠になっています。
演説に際してジャイシャンカル氏はインドと韓国の関係の重要性を強調し、造船やデジタル技術、ヘルスケア、インフラ、防衛といった分野での強い相補性を指摘しました。経済・技術面でのパートナーシップ強化や戦略協力の深化、人と人との交流拡大が両国のみならず地域と世界の安定に寄与すると述べ、韓国での二国間協議がこうした機会を活用する点に焦点を当てた形です。
演説後、ジャイシャンカル氏は自身の発言の要旨をXで共有し、サプライチェーンのレジリエンス強化や新たなパートナーシップ構築、国際法順守、グローバル・サウスの能力強化、改革された多国間主義の推進を主要柱として改めて強調しました。
ジャイシャンカル氏は、変化する世界での協力の再発明が不可欠だと結びました。