イランの攻撃で中東情勢が一段と緊迫、米軍施設と海上交通が標的に
イランは日曜未明、ドナルド・トランプ米大統領が暫定和平合意を履行しない場合に指導部排除を示唆した直後に、クウェートとバーレーンにある米軍施設をミサイルと無人機で攻撃し、中東情勢は一気に緊張を高めました。
発砲や爆発の具体的な描写は限定的ながら、クウェート軍は弾道ミサイル2発を迎撃したと発表し、バーレーンでは警報が鳴り住宅ビルが損壊したものの犠牲者の報告はないとされ、米当局者はロイターに対して米施設への攻撃を確認しつつも、現時点で米国人の死傷者や施設への重大な被害の報告はないと説明しており、状況は依然進展中だとしています。
イラン・イスラム革命防衛隊(IRGC)は自国の海軍と空軍が作戦を実施したと宣言し、米国側の攻撃を停戦違反だと非難したうえで「すべての外交プロセスの完全な中断をもたらすだろう」と国営放送を通じて伝え、IRGC海軍司令部は地域の米軍基地が今後数日間「地獄を味わうだろう」と警告しており、こうした強硬な表明は事態の軍事的エスカレーションを招く懸念を一層高めています。
背景には、戦闘を中断しつつ核問題などを協議することを目的とした14項目の暫定和平合意が存在し、ワシントンとテヘランの間では先週、JD・ヴァンス副大統領とイラン議会議長モハマド・バケル・ガリバフが主導する仲介によるスイスでの協議を経て米側が対テヘラン制裁を一時停止するなどの動きがあったものの、それ以降も戦闘は再開・激化しており、この協議の脆弱さが今回の応酬の一因となっているとの見方が示されています。
米中央軍(CENTCOM)は、商業海運に対するイランの継続的な攻撃に直接対応したと説明し、過去数日の間にパナマ船籍のタンカーがドローン攻撃を受けたことを受けて、イランの軍事監視や通信、対空防衛、ドローン保管、機雷発射に関する施設などを標的にした攻撃を実施したと述べていますし、国営放送はイラン南部シリクでの爆発を伝えるなど、海峡周辺での軍事的緊張は依然継続しています。
オルムズ海峡は戦闘前に世界の石油とLNGの約5分の1を運んでいた重要海路であり、ここ数週間で停泊していた何百隻もの船舶が徐々に出航を再開して石油価格は戦争前の水準に近づきつつあるものの、紛争の過程でテヘランが実質的に海峡を封鎖してきた経緯があること、さらにイラン外相アッバス・アラグチが海峡の海上交通回復の責任は専らテヘランにあると主張し、他国に対して干渉しないよう促す一方で、最終的に通行料を課し北側ルート利用を求める意向を示していることは、海上輸送の安定化に向けた構造的な対立を示唆しています。
こうした中で海運大手CMA CGMのコンテナ船Galapagosが日曜朝に海峡を出航し、同社はこれを「複雑な地域情勢の中で重要な節目であり、継続的な警戒を要する」と位置付けていることは、商業側が厳重な警戒のもとで航行継続を模索している現実を映しています。
また地域では、イスラエルがレバノン南部ナバティエ地方でヒズボラ戦闘員を攻撃しロケット弾発射装置を破壊したと発表しており、これはレバノン側と最近合意した停戦で戦闘を鎮めることで合意したわずか1日後の出来事であるため、イランがより広範な合意を維持するにはこうした局地的衝突が停止されるべきだと主張している点と相まって、停戦の脆弱性が改めて浮き彫りになっています。
トランプ氏はソーシャルメディアで「合理的であり続けることができなくなり、私たちがこれまで非常に成功裏に始めた任務を軍事的に完了せざるを得なくなる時が来るかもしれない」と述べ、さらに「もしそうなれば、イラン・イスラム共和国は存在しなくなる!」と強硬な表現を用いており、こうした発言は軍事的圧力と外交交渉が併存する不安定な均衡を際立たせています。
一連の応酬は、停戦合意の履行と海峡の安全確保を巡る信頼関係が損なわれるなかでの軍事的・外交的な綱引きを反映しており、米欧や地域諸国がどのような追加措置を取るかによって今後数日から数週間で事態がさらに拡大する可能性があるため、関係各国は外交的対話の再構築と航行の安全確保に向けた具体的手立てを急ぐ必要があります。