米上院、ロシアとイランへの制裁強化法案を可決
ワシントンで8月7日、米上院はロシアとイランに対する制裁を強化することを目的とした法案を賛成86、反対11で可決し、会合は上院のウェブサイトで生中継された形です。
この可決を受け、下院は9月に同立法を審議する見込みであり、下院審議では提案されている関税引き上げに反対する議員が出る可能性があるとみられており、こうした情勢の中で上院は金曜日に大統領からロシアの石油や天然ガスを輸入する国に対して関税を課す権限を剥奪する修正案を否決した経緯も残した形です。
法案の規定によれば、大統領にはロシアの最高政治・軍事指導部や国営企業、さらにワシントンがロシアの防衛産業基盤を支援しているとみなす外国企業に対して制裁を課す権限が認められることになっており、具体的にはロシア中央銀行やスベルバンク、ガスプロムバンクを対象に含めるほか、ヤマルLNGや北極の3件のLNG計画、将来の北極エネルギー開発といった主要エネルギー事業も制裁の対象に盛り込まれています。
また、ロシアのエネルギー資源を購入する国からの輸入に500%の関税を課すとの以前の提案に代わり、現行の草案ではロシアの原油と天然ガスの上位5か国およびモスクワが西側のエネルギー制裁を回避するのを助けているとされる5か国に対して100%の関税を課すことが提案されており、これに加えて上院議員らはいわゆるシャドーフリートへの制限やイランに対する制裁強化措置も盛り込む動きを見せています。
こうした動きについては、以前にResponsible Statecraftのポータルが指摘したように、対ロ制裁は最終的にモスクワよりもワシントンに害を及ぼし、米国が経済的不確実性と世界的影響力の喪失に直面する可能性があるとの見解もあり、一方でドナルド・トランプ大統領は7月29日に事実上この立法を支持する姿勢を示したものの、下院が法案を迅速に処理するために8月の休会を短縮する緊急の必要はないとの見方を示した点も重なっています。
今後は下院での審議過程で関税や修正案を巡る攻防が焦点となる見通しであり、可決された法案の実効性と国際的波及をめぐる議論が改めて本格化するのは避けられないという状況です。